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徳島地方裁判所 平成7年(わ)60号 判決 1995年7月10日

裁判所書記官

長倉浩司

被告人

1

法人名 有限会社阿波近藤建設

代表者名

代表取締役 近藤義信

本店所在地

徳島県阿波郡市場町大字山野上字中山二二八番地の三

2

氏名 近藤義信

年齢

昭和一七年四月一日生

本籍

徳島県阿波郡市場町大字尾開字八坂七四番地の一四

住居

同町大字山野上字白坂二五二番地の二

職業

会社役員

検察官

市川寛

弁護人

真鍋忠敬

主文

被告人近藤義信を懲役一年二か月に処する。

被告人有限会社阿波近藤建設を罰金二八〇〇万円に処する。

被告人近藤義信に対し、この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人有限会社阿波近藤建設は、徳島県阿波郡市場町大字山野上字中山二二八番地の三に本店を置き、土木建築の請負・施工等を事業目的とするもの、被告人近藤義信は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括するものであるが、被告人近藤義信は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、賃金給料や主要材料費等を架空計上するなどの方法で所得を秘匿した上

第一  平成二年四月一日から同三年三月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は、八四一五万七〇四六円であり、これに対する法人税額が、三〇七五万六七〇〇円であったにもかかわらず、平成三年五月三一日、徳島県麻植郡川島町大字宮島七四七番地二所在の所轄川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三五二万六五〇六円であり、これに対する法人税額が四二七万一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額二六四八万六六〇〇円を免れ

第二  同三年四月一日から同四年三月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は、一億二六四七万二六二七円であり、これに対する法人税額は、四六六二万七二〇〇円であったにもかかわらず、平成四年六月一日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六〇〇万四八三六円で、これに対する法人税額が五二〇万一七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額四一四二万五五〇〇円を免れ

第三  同四年四月一日から同五年三月三一日までの事業年度における被告人会社の所得金額は、一億一三六五万八三二五円であり、これに対する法人税額が、四一七八万七八〇〇円であったにもかかわらず、平成五年五月三一日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二六六〇万七一九円であり、これに対する法人税額が九一四万一一〇〇円(ただし、課税留保金額に対する税額を除く金額)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額三二六四万六七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

(括弧内の番号は、証拠等関係カードの検察官請求証拠番号を示す。)

判示全部の事実について

1  被告人及び被告人会社代表者近藤義信(以下単に「被告人近藤」という。)の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書(97)

(3)  大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通(84、85、89ないし96)

2  被告人近藤及び金家幸枝作成の申述書(36)

3  金家幸枝の

(1)  検察官調書(35)

(2)  大蔵事務官に対する質問てん末書七通(28ないし34)

4  森川正博、近藤宗市、森川嘉子、林桃江(二通)、忠津歌寿子(二通)、大城トシエ、小田正勝、西村妙子、西村茂行、井上俊和、田村栄二、山田勇樹、加藤卓一、笠井直泰、森下常芳、権田正一、片山均、渋谷正善、坂東アヤ子、松永治良、植松晴夫、松本政巳、久米英夫、野崎昭夫、六車明、向井邦夫、岩崎昭、木内正未、宮下武、喜多條芳諭、川井博の各大蔵事務官に対する質問てん末書三三通(37ないし68、71)

5  告発書(1)

6  商業登記簿謄本(2)

7  被告人会社定款謄本(3)

8  領置てん末書(4)

9  捜査報告書四通(8、12、13、18)

10  賃金給料調査書(14)

11  主要材料費調査書(15)

12  外注加工費調査書(16)

13  受取利息調査書(17)

14  支払手数料調査書(19)

15  現場経費調査書(20)

16  損金算入利子割額調査書(21)

17  事業税調査書(22)

18  脱税経費否認調査書(23)

19  その他所得調査書(24)

判示第一の事実について

20  被告人会社の平成二年分の所得税の確定申告書綴(平成七年押第一九号の1)

21  脱税額計算書(9)

判示第二の事実について

22  被告人会社の平成三年分の所得税の確定申告書綴(平成七年押第一九号の2)

23  脱税額計算書(10)

判示第三の事実について

24  被告人会社の平成四年分の所得税の確定申告書綴(平成七年押第一九号の3)

25  脱税額計算書(11)

(法令の適用)

被告人有限会社阿波近藤建設について

罰条 法人税法一五九条、一六四条一項

併合罪の処理 平成七年法律第九一号附則二条一項本文により同法による改正前の刑法四五条前段、四八条二項

被告人近藤義信について

罰条 法人税法一五九条、一六四条一項

刑種の選択 懲役刑

併合罪の処理 前記改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 前記改正前の刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告人1罰金三〇〇〇万円、同2懲役一年六か月)

(裁判官 樋口隆明)

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